1974年生まれ、フランスで活動するサクソフォン奏者。パリ音楽院を卒業、ディナンのアドフル・サックス・コンペティション(1994年)、ジュネーヴの国際コンクール(1995年)、ボルドーのギャップ国際コンクール(1996年)で優勝しています。パリ国立歌劇場管弦楽団、フランス放送管弦楽団、サンサンブル・アンテルコンタンポラン、アンサンブル2E2Mなどと共演しています。ディナンのコンテストの様子はこちらの録音で聴くことができます。
壁に向かったボクーサの写真のジャケット、その裏にはボブ・ディランの言葉が綴られている、、現代音楽というよりもロックあたりのCDのような装丁です。フランスの新進気鋭の作曲家ブルーノ・マントヴァーニは1974年生まれ。このCDから聴こえてくるサウンドは、確かに無調でメロディらしいメロディがつかみきれないという意味では典型的な現代音楽ですが、ジャズやロックなどの影響を感じつつも、それはあくまで香辛料であってマントヴァーニの提供する音空間を(作曲家・)演奏者・聴衆で共有しようという意図が伝わってきます。第3ラウンドは実質的にサクソフォン協奏曲といってよく、ソプラノ、テナー、アルト、バリトンとフルに持ち替えるなど八面六臂の活躍。ジャブをかまし、ガードを固め、そしてフックを決め猛打を浴びせる、そんなボクシングのステージと客席との一体感に似た高揚をこの曲から感じました。
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選曲をみれば演奏者の気持ちの持ちようがわかるというもので、ベリオ、ブーレーズ、ウェーベルンという極めて難解な曲が揃っています。しかし、そこから聴こえてくる音楽は、確かにテンションは高いものの、必要以上に声高になることはなく、実に自然体で演奏が繰り広げられています。徹底的に切り詰められた音を聴いていると、空間が凝縮されたような感覚を味わうことができるでしょう。もちろん、それはダヴィッドの演奏技術の高さゆえに実現が可能であることは言うまでもありません。ゲンダイオンガクは苦手だな、と思う方も、このあたりから聴き始めると、抵抗が少ないのではないでしょうか。
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