Stephen COTTRELL
1962年、イギリス南部のブリストル生まれ。イースト・アングリア大学で学んだ後、ロンドンのギルドホール音楽学校でジョン・ハールに、さらに渡仏しパリ国立音楽院でダニエル・デファイエにも師事しました。現在はデルタSQのソプラノサクソフォン奏者として活動する傍ら、ミドルサセックス大学の研究員、またゴールドスミス大学の客員教授を経て、サマスヴァレー大学のシニア・レクチャー・イン・ミュージックを務めています。
主なアルバム
「the electric saxophone」
Clarinet Classics CC 0033
2000/7-11 [execpt c] 1996/5 [c]
- ジャックダウ (シーゲル)
- リルト (ディアデン)
- EQ (ハリソン)
- オン・ゴーイング・オン (アルパレツ)
- 干渉 (グレゴリー)
Clarinet Classicsからリリースされたアルバムは、タイトルから想像つくようにサクソフォンとテープによる作品を集めたアルバム。こう書くと非日常的な難しい音楽のように思えるかもしれませんが、今回聴いたアルバムはどちらかというと拒絶反応なく聴くことができました。中でも、バリトンサクソフォンとテープによるジャックダウやEQを聴いて、2者の相性の良さをあらためて感じ、この組み合わせによる作品を、もっと聴いてみたくなりました。干渉は初演者であるハラームの録音と比較すると、どこまでもメカニカルなハラームの演奏に対して、コットレルの演奏はどことなく隙のある体温を感じさせる演奏です。
なおオン・ゴーイング・オンは Overhear Records の「British Electroacoustic music」(OhM 001 CD) にもコットレルによる録音がリリースされており(ただし廃盤のようです)、音源は別テイクと思われます。
Clarinet Classics レーベルのこのCDの紹介はこちら(英語)
オススメ度:
「History of Saxophone」
- ヴェニスの謝肉祭 (ドゥメルスマン)
François COMBEL (saxophone) r.1910
- マールボロの主題による変奏曲 (コンベル)
Marcel MULE (saxophone) r.1931
- アイリッシュ・マギー (フェントン)
Gertie GINTA (saxophone) r.1913
- ザット・モーニング・サクソフォン・ラグ (クック&ブラウン)
The Six Brown Brothers r.1914
- サックス=オ=ファン (ヴィードーフ)
Rudy WIEDOEFT (saxophone) / O.LEVANT (piano)
- はかないワルツ (ヴィードーフ)
Freddy GARDNER (saxophone) / Peter YORKE and his concert orchestra
- チャイナ・ボーイ
Sidney BECHET (saxophone) / Spanier Big Four r.1940
- ボディ・アンド・ソウル (ヘイマン/ソワー/ヘイトン/グリーン)
Coleman HAWKINS (saxophone)
- ゴースト・オブ・ア・チャンス
Lestr YOUNG (saxophone)
- グルーヴィン・ハイ (ガレスビー)
Charlie PARKER (saxophone) / Dizzy Gillespie Quintet
- メヌエット ト長調 (ベートーヴェン)
Rudy WIEDOEFT (saxophone) / O.LEVANT (piano) r.1926
- シャコンヌ (デュラン)
Howard JACOBS (saxophone) / Savoy Habana Band
- ラプソディ (ドビュッシー)
Maurice VIARD (saxophone) / Piero COPPOLA 指揮 交響楽団 r.1929
- 小協奏曲 (イベール)
Marcel MULE (saxophone) / Philipe GAUBERT 指揮 管弦楽団 r.1937
- サクソ=ラプソディ (コーツ)
Sigurd RASCHER (saxophone) / Eric COATES 指揮 管弦楽団
- ソナタより 第3楽章 (モリッツ)
Cecil LEESON (saxophone) / Josef WAGNER (piano)
- ナルシッソス (ネヴィン)
Wiedoeft Saxophone Sextet r.1922
- ディヴァージョンズより 第1楽章 (パターソン)
Myhra Saxophone Quartet
- 弦楽4重奏曲「ミシマ」より 第1楽章 (グラス)
Delta Saxophone Quartet
- エチュード・フォー・サクソフォン (ケントン)
Stan Kenton orchestra
- 組曲「アルルの女」第1組曲 前奏曲 [一部] (ビゼー)
Alfred WALTER 指揮 フィルハーモニア・カサノヴァ
- 展覧会の絵より 古城 (ムソルグスキー)
Serge KOUSSEVITZKY 指揮 ボストン交響楽団 r.1930
- 仮面劇「ヨブ」第6場より 踊りのための仮面 (ヴォーン=ウィリアムス)
David LLOYD=JONES 指揮 イングリッシュ・ノーザン・シンフォニア
- 5重奏曲より 第1楽章 (ヴィラ=ロボス)
Kyle Horch Ensemble
- 交響的舞曲 第1楽章より [一部] (ラフマニノフ)
Enrique BATIZ 指揮 ロイヤル・フィルハーモニア管弦楽団
- ジャックダウ (シーゲル)
Stephen COTTRELL (saxophone)
- ホーダウン (グレゴリー)
London Saxophonic
オムニバスとして紹介するべきか迷ったのですが、このアルバム、というより資料がリリースされたのはひとえにコットレルによるものゆえ、ここに紹介としました。タイトルからおわかりのとおり、サクソフォンの歴史を俯瞰することのできる音源に加えて、80ページに及ぶブックレットついており、音源つきの論文、という様相。むしろ主役は論文でしょう。サクソフォンの誕生から現在までの発達の歴史が述べられていますが、クラシックはもちろんジャズやポピュラー音楽関係もかなり詳細に記載されている点が貴重です。ウィンド・シンセサイザーについてもふれられており、またコールマン・ホーキンスからマイケル・ブレッカー、シンディー・ダルファーに至るまでの活動についても記述があります。近年のフランス・アメリカ・イギリス以外のサクソフォンの状況についてもふれてほしかったですが、これは欲張りかな。音源は Clarinet Classics を始め Naxsos、HMV など、ほとんど既出の音源ではありますが、リマスターが異なったり、さらには一部プライヴェートな音源も含まれており、価値の高い企画です。サクソフォンを学術的に探求したい方は必携。
Clarinet Classics レーベルのこのCDの紹介はこちら(英語)
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