トルヴェール・クヮルテットのテナー吹きである新井氏は、1983年コンセルヴェトワール尚美に入学、尚美コンクールのサクソフォン部門第1位、1987年には日本管打楽器コンクールのサクソフォン部門で第2位をとり、1989年赤松賞を受賞し尚美を卒業しました。同校の音楽室員となる一方、ソロ活動、シエナ・ウィンド・オーケストラのコンサートマスター兼アルト・サクソフォン奏者として活躍していることはご存じでしょう。武藤賢一郎、下地啓二、故大室勇一の各氏に師事しました。
以下のアルバムに加えて、トルヴェールで一緒に活動する彦坂氏とのデュオアルバムがリリースされています。
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新井氏初のソロアルバム。これまでにも企画CDなどではソロをとってましたが、このソロアルバムは全編テナーということもあって期待して聴きました。考えてみたら、全編テナーのアルバムって、有りそうであまりありません。
感想を一言で言えば、とにかくすばらしいアルバム! 帯にも書いてあるとおり、テナーにありがちな「野太さ」はほとんどなく、むしろ繊細さが感じ取れます。熱くなるところは自然に熱くなりますが、音楽の流れはあくまで前へ進んでいきます。最近どうしても減点法的にCDを聞いてしまいがちな私(反省!)ですが、久しぶりに文句のつけようのないアルバムに巡り合った気がします。中でも楽しめたのは、フィオッコの協奏曲の技術に裏付けられた端正なたたずまい、原曲を知っていても意表を突いて楽しめたプーランクのソナタ、コル・ニドライでは愉悦感もたっぷり盛り込みつつ、構成もしっかり感じさせてくれます。アダージョとアレグロの後半はもう少し落ち着いた雰囲気で演奏してほしかったですが、これはあくまで私の好みの問題、この演奏はこれで充分説得力を感じました。
テナー奏者のみならず、サクソフォン吹き必聴。サクソフォンでクラシックなんて、と思ってる方にも是非聴いて頂きたいアルバムです。
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