「タイタニックの沈没」「イエスの血は決して私を見捨てたことはない」などで知られるイギリスの作曲家ギャビン・ブライヤーズ。ミニマル・ミュージックと分類されることもある作風は、たしかにその要素を持っていることも事実ですが、暴力的/無機的な響きを持つ現代音楽ではなく、感性に直接訴える音楽という側面も強く感じます。それは、ブライヤーズの音楽的なルーツにジャズが深く関わっていることが理由の一つなのかもしれません。
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ジャケットから音楽作りまで、独自の雰囲気を持つECMレーベルからリリースされた、ブライヤーズの作品集。アルバムタイトルにもなっているアフター・ザ・レクイエムは、エレキ・ベースを含めた弦楽器群で演奏されていることもあり、一言でいえば耳に優しい音楽。ともすればヒーリング・ミュージックのようにすらきこえる響きは、お堅いクラシックファンよりもジャズ好きの方に受け入れられるのではないでしょうか。その傾向はクラリネットを加えた(もともとはサクソフォンのための)アレグラスコでも同様。さて、サクソフォン4重奏(ただし、SSAB)のためのアラリックI or IIを担当する奏者は、ジャズ・シーンで活躍する奏者ばかり。そのせいかどうかわかりませんが、高音の跳躍音形の音色や音程が滑らかに感じられなかったり、アンサンブルが一つのサウンドとして聴こえてこなかったりと、やや技術的に気になる箇所があって残念でした。ところどころでジャズ奏者ならではの表現が感じられておもしろい演奏だとは思うのですが、、